 
9月12日 (水) 前夜から雨が降っていた。イエニカプ港までタクシーで行った。
 これからイズニックに行く。船のチケットを買って、待合室に落ち着いた。
 テレビが数台ある。どれも同じように黒煙に赤々と火の手が上がっている。
 見ている人達は特に驚いた風もない。娯楽テレビかゲームか?
 船はかなり大きなフェリーで1階に車が入り、乗客は両サイドから2階に上る。
 座席が沢山空いているので、後部の特等席を占め、離れ行くイスタンブールの
 景色を心ゆくまで眺めた。1時間でヤロワに着いた。船内のテレビは絶え間なく
 同じことを放映していた。(中略)
 イズニック湖畔のホテルも、城壁に囲まれた街もシーズンオフなのか閑散と
 していた。男達が三々五々談笑している。歩くうちに靴底がベラっと剥がれて
 しまった。丸くなって談笑していた若者に、靴屋を聞いた。一人が立って道案内を
 してくれた。
 9月13日 (木)
 イズニックの旅はのんびりゆったり気持ちよかった。帰りの船内の売店で
 新聞 The Sun を買った。3人の消防士が瓦礫と化した世界貿易センターの中で、
 ポールの星条旗を回収している写真が大きく載っていた。TRUE GRIT とあった。
 
 イスラム過激派テロ組織アルカイダに、4機のアメリカの旅客機がハイジャックされ、2機が世界貿易センターに
 激突、墜落。1機がペンタゴンに激突,爆発、もう1機も墜落したという。こんな未曾有の大事件なのに、人々は
 動揺する事も無くテレビを見ていた。もっとも事件は11日の午前9時頃らしいが、我々はドバイからイスタンブールに
 飛んで、アヤソフィアや貯水の地下宮殿を見学していた。その日もその夜も緊迫した様子は全然感じられなかった。
 
 
 |